本記事では、現役の運用保守エンジニアとして働く私が、2025年を振り返って「やってよかったこと」と「やめてよかったこと」を正直に書いていきます。
いわゆる成功談や意識高い話ではありません。むしろ、
- うまくいったこと
- 遠回りだったこと
- 今思えばやらなくてもよかったこと
そういったものを整理し、これからの行動を選ぶための判断材料として残すことが目的です。
2026年に向けて、本記事の記事の中から、 『これなら自分にもできそう』 『これは同じ失敗をしなくてよさそう』 そんな気づきが1つでもあれば幸いです。
2025年 やってよかったこと

自己投資編
AWSクラウドプラクティショナーの資格勉強
2025年にやってよかった自己投資の1つが、AWSクラウドプラクティショナー(CLF)の資格勉強です。
正直に言うと、当初は「今さら入門資格では?」という気持ちもありました。運用保守エンジニアとして数年働いてきて、クラウドという言葉自体は当たり前のように触れていたし、自身が担当するシステムはオンプレミスのシステムだったためです。
AWSの資格勉強をしておいてよかったと感じている一番の理由は、クラウド人材の需要が高まっていく中で、今のうちから基礎知識を蓄えられたことです。
ニュースや業界動向として「クラウド人材が不足している」「クラウド経験者が重宝される」といった話は以前から耳にしていましたが、資格勉強を通じて、
- クラウド環境で最低限押さえるべき用語や考え方
- オンプレミスとクラウドの役割分担の違い
- 運用・コスト・責任範囲の基本構造
といった知識を一通りインプットできたことで、『この分野について、まったく分からない状態ではなくなった』という安心感を得られました。
今すぐクラウド案件に関わるわけではなくても、将来的に求められる可能性が高い分野に対して、最低限の備えができたという点で、この資格勉強は意味のある自己投資だったと感じています。
さらに、AWSの学習を通じて、システム全体像を意識する視点が身についたことも大きな収穫でした。
ネットワーク、サーバ、ストレージ、セキュリティ、可用性、コストといった要素が、クラウド上ではどのように役割分担され、どこまでが利用者の責任なのか。この整理ができたことで、『自分が今、システムのどのレイヤーを担当しているのか』を俯瞰して考えられるようになりました。
これはオンプレミス中心の運用保守エンジニアにとっても大きな意味があり、目の前の作業だけでなく、システム全体を意識した判断がしやすくなったと感じています。
Difyの活用研究
2025年は、Difyを使った生成AI活用の研究にも時間を使いました。
きっかけは、『ChatGPTは便利だけど、そのままでは業務に使いにくい』という違和感でした。単発の質問には強い一方で、
- 社内ドキュメント
- 過去の設計書
- 手順書
といった自分たちの文脈を理解させるには工夫が必要です。
Difyを触ってみて強く感じたのは、AI活用の本質はモデルよりもデータと設計だということでした。
RAG(社内ドキュメントを検索して回答させる仕組み)を試作する中で、
- 文書が整理されていないとAIも役に立たない
- プロンプト設計で回答の質が大きく変わる
といった、ある意味当たり前だけど重要な現実を体感できました。
これは運用保守の仕事とも相性が良く、『手順書が整っていない現場は、人が変わっても苦労する』という経験則と重なります。
これから触る人は、いきなり大規模な仕組みを作ろうとせず、
- FAQ検索
- 手順書の要約
など小さなユースケースから始めるのがおすすめです。8割はデータ整備です。
Copilotの活用研究
Copilotについては、一般的にイメージされがちな「ちょっと便利な文章生成ツール」というより、会社が推奨する“業務標準のAIアシスタント”として触れておいてよかったと感じています。
というのも、私の会社では有償版のCopilotアカウントが提供されており、利用が推奨されています。ここが大きなポイントで、無料版や単体ツールとして触るCopilotとは、使い勝手も「できること」も少し別物でした。
特にメリットが大きいのは、Office(Microsoft 365)と連動して、社内ドキュメントを横断的に検索・要約できることです。
運用保守の仕事って、結局のところ
- 過去のメールや議事録
- 設計書や手順書
- Teamsのやり取り
- 申請書・問い合わせ履歴
こういった「散らばった情報」を探して、つなぎ合わせて判断する場面が多いです。
この“探す作業”が重い。そして、探している間に『何を探していたか分からなくなる』こともある。有償版のCopilotは、ここにかなり効きました。
- 「この変更の背景ってどこに書いてあったっけ?」を探す
- 過去のやり取りを要約して、判断材料を短時間で作る
- 関係者向けの説明文や報告文を整える
といった、情報探索〜整理〜文章化の流れを一気に短縮できる感覚があります。
そしてもう1つ大きいのが、(会社のルールの範囲内で)社外秘情報もインプットにRAG的な使い方ができる点です。
もちろん、「何でも入れてOK」という話ではありません。社内規定や情報管理ルールは前提として守る必要があります。
ただ、会社が有償アカウントを配布し、推奨しているということは、『一定のガバナンス(利用ルール・管理の枠組み)の上で、業務に使う前提がある』ということでもあります。
だからこそ、個人でAIツールを試すのとは別に、“職場で使えるAI”を早めに触っておく価値がありました。
具体的には、
- どんな質問が得意で、どんな質問が苦手か
- どう指示すると狙った情報に当たるか
- 回答の根拠(参照先)をどう確認すべきか
といった「使いこなしの勘所」を、日々の業務の中で掴めます。
よくある失敗は、『AIが出した答えをそのまま採用して、後でズレに気づく』ことです。
Copilotに限らず、生成AIは便利ですが、運用保守の現場では正確性が最優先になります。
だから私が意識していたのは、次の3点です。
- 出力は必ず一次情報(元のドキュメント)に当たって確認する
- 指示は具体的に(対象範囲・目的・期限・前提を明記する)
- 入力していい情報/ダメな情報は社内ルールに従う
結局、Copilotの価値は「全部やってくれる」ことではなく、人が判断する前の“材料集め”と“整理”を高速化できることにあると感じています。
2025年にCopilotを触っておいてよかったのは、今後この手のツールが“特別なもの”ではなく、Excelやメールと同じくらい当たり前の仕事道具になっていく中で、早めに「使い方の基礎体力」を作れたことです。
ChatGPTの活用研究
ChatGPTは、2025年に最も使ったツールの1つです。
仕事、学習、ブログ作成など、使い道は多岐にわたりましたが、一番の価値は思考の壁打ち相手になってくれたことだと思います。
『この考え方で合っているだろうか?』
『別の視点はないだろうか?』
こうした問いを投げることで、思考が整理され、アウトプットまでのスピードが明らかに上がりました。
一方で、鵜呑みにしない姿勢も重要です。ChatGPTはあくまで補助であり、最終判断は人間が行う必要があります。
具体的に使うなら、
- 前提条件を明確にする
- 目的をはっきり書く
この2点を意識するだけで、出力の質は大きく変わります。
娯楽や生活
読書(小説)
2025年は、あえて小説を読む時間を増やしました。
自己投資や勉強が続くと、どうしても頭が疲れてきます。そんな中で小説は、
- 強制的に仕事から意識を切り離せる
- 脳のリフレッシュになる
という点で非常に効果的でした。
また、文章に触れることで、言語化能力や表現力のトレーニングにもなります。
ポイントは、『学びにしようとしないこと』です。純粋に楽しむ読書だからこそ、結果的に仕事にも良い影響がありました。
収支の見える化と分析
2025年に取り組んでよかったことの1つが、収支の見える化と分析を一段深くやったことです。
前提として、家計簿アプリのZaimには以前から登録しており、利用している金融機関の口座連携も一通り済ませていました。ただし、その使い方はかなりライトで、
- ざっくり予算を設定する
- 日々の支出を何となく眺める
といったレベルに留まっていました。数字は見えているものの、「それをどう判断し、どう行動に反映するか」までは落とし込めていなかったと思います。
2025年は、ここを一度きちんと整理し直しました。具体的には、過去数年間の支出を遡って確認し、支出項目の具体化と予算金額の見直しを行いました。これまで感覚的に設定していた予算を、実際の支出実績をもとに修正した形です。
あわせて、自身の将来像をかなりざっくりではありますが描き、投資計画にも挑戦しました。まだ粗い計画ではあるものの、『今の収支バランスで、将来に向けた選択肢はどれくらいあるのか』を考えるきっかけにはなりました。
そのうえで、月単位で
- 予算に対してどれくらい使ったのか
- 想定とズレている項目はどこか
を確認するようにしました。毎日細かくチェックするのではなく、月次で振り返るくらいの距離感が、自分にはちょうどよかったです。
この取り組みをしてよかったと感じた点は大きく2つあります。
1つ目は、普段の買い物に自然と気を遣うようになったことです。無理に我慢するのではなく、「これは予算内か」「本当に今必要か」を一度考える癖がつきました。
2つ目は、現在や将来に対する漠然とした不安が薄れたことです。完璧な計画が立ったわけではありませんが、数字を把握し、自分なりに整理したことで、『よく分からないから不安』という状態からは一歩抜け出せたと感じています。
結果として、収支の見える化と分析は、節約そのものよりも、安心して日々の判断をするための土台作りとして意味があった取り組みでした。
摂取カロリーのコントロール
30歳が近づいてきたことをきっかけに、これまでよりも脂肪がつきやすくなってきたと感じ、摂取カロリーを意識するようになりました。
最初から厳密に管理しようとするとストレスになりそうだったため、「しんどくなったら気にしすぎるのはやめよう」という前提で、あくまで目安として取り組み始めました。
一般的に、成人男性の1日の摂取カロリーの目安は2,000〜2,700kcal程度とされていますが、実際に意識してみると、この範囲内でも意外と食事を楽しめることに気づきました。
カロリーを意識するようになると、自然と
- 主食・主菜・副菜のバランス
- 間食や飲み物の選び方
にも目が向くようになり、結果として普段の食事内容そのものを見直すきっかけになりました。
厳しい食事制限をしたわけではありませんが、「何となく食べる」状態から一歩抜け出せたことで、体調面・健康面ともにプラスの変化を感じています。
摂取カロリーのコントロールは、我慢のための取り組みではなく、長く健康に過ごすための土台作りとして、やってよかったと感じている習慣です。
2025年 やめてよかったこと

自己投資編
生成AIの環境構築の勉強
2025年にやめてよかったと感じたのが、生成AIのローカル環境構築を深追いすることです。
※ここでいう「ローカル環境構築」とは、ChatGPTやCopilotのような既成のサービスを使うのではなく、自分のPCやサーバー上に生成AIの実行環境を用意し、モデルを動かすところから整える学習を指しています。
当時は、生成AIそのものへの関心が高まり、「エンジニアとしてこの分野を理解しておくべきではないか」と考えていました。ローカルでLLMを動かす方法や、GPU・推論環境の仕組み、関連するフレームワークやツールについて調べること自体は、純粋に技術的な面白さがありました。
しかし、時間をかけて取り組む中で、次第に違和感を覚えるようになりました。生成AIの環境構築は、機械学習の基礎知識やモデル構造、ハードウェアの知識など、前提となる学習範囲が非常に広く、理解を深めようとすればするほど、別の分野の知識が必要になります。また、この分野は技術の進化が早く、数か月前の情報がすぐに古くなってしまうことも珍しくありません。
それ以上に大きかったのは、学習にかけた時間に対して、実務で得られるリターンが見えにくかったことです。環境を構築できたとしても、『それによって自分の業務の何が楽になるのか』『どの作業が効率化されるのか』を明確に説明できませんでした。
振り返ると、いつの間にか「業務を改善するため」ではなく、「環境を構築すること自体」が目的になっていたように思います。技術的な達成感はあっても、運用保守エンジニアとして重視すべき、安定運用への貢献や属人化の解消、判断や手順を楽にする、といった点には結びついていませんでした。
この経験から強く感じたのは、流行している技術であっても、今の自分にとって最優先で学ぶべきとは限らないということです。
今であれば、まずはChatGPTやCopilotのようなSaaS、Difyのようなマネージドな基盤を使い、実際の業務課題が解決できるかどうかを先に確かめます。そのうえで、『内部構造を理解しないと要件を満たせない』『自分で制御する必要が出てきた』と感じた段階で、初めてローカル環境構築や低レイヤーの勉強に進む方が、結果的に効率が良いと考えています。
自己啓発本の読み漁り
自己啓発本を大量に読むことも、やめてよかったことの1つです。
読んでいると前向きな気持ちになりますし、一時的にはモチベーションも上がります。ただ、その一方で、『分かった気』だけが増え、行動が伴わない状態に陥りやすいと感じました。
特に象徴的だったのが、日々つけていた日記を振り返ったときの気づきです。自己啓発本で読んだ内容を「これは大事だ」「実践したい」と思っているにもかかわらず、実際の行動としてはほとんど実行できていない、という振り返りが何度も出てきました。
頭では理解しているつもりでも、行動が変わっていない。その結果、『知識ばかり増えて、頭でっかちになっているのではないか』と感じる場面が増えていきました。
また、インプットした内容が増えすぎたことで、『結局、自分は何を行動指針にすればいいのか』が分からなくなりかけていたのも、今振り返ると大きなサインだったと思います。
それに加えて、2025年は、生成AIの活用研究や自動化施策など、より直接的に業務の成果や利益につながるコンテンツが急激に増えた年でもありました。限られた時間の中で、それらに対応していくためには、相応の学習コストと試行錯誤の時間が必要になります。
その結果、『今の自分にとって、本当に優先すべきインプットは何か』を考えるようになり、自己啓発本を次々と読むことの優先度は自然と下がっていきました。
今後の方針としては、少なくとも1年間は新たに自己啓発本を購読せず、自身のコアタスクに集中するつもりです。そして、2027年以降に、これまで読んできた自己啓発本を改めて読み直し、『今の自分なら、どの考え方を行動に落とせるか』という視点で再評価したいと考えています。
娯楽や生活
YouTube Premium
YouTube Premiumも解約しました。結論から言うと、費用対効果が合わなかったためです。
YouTube Premiumの体験自体はとても優れていると感じていました。広告なし視聴やバックグラウンド再生、音楽アプリのように使える点など、ユーザー体験としては非常に完成度が高く、使っていて不満はほとんどありませんでした。
ただ、自分の生活スタイルを冷静に振り返ってみると、
- 音楽はすでにApple Musicを利用している
- 1日に占めるYouTubeの動画視聴時間は平均すると約1時間程度
という状況で、月々およそ1,300円を支払い続けるほど使い込んでいるかというと、正直そこまでではありませんでした。
「便利なのは間違いないが、自分にとって必須か?」と考えたとき、現時点では優先度が低いと判断し、解約することにしました。
とはいえ、広告なし視聴やバックグラウンド再生を手放すのは、かなり惜しいと感じたのも事実です。そのため、今後もし家族やパートナーなど、共有できる人ができたタイミングで、再度サブスクライブを検討する余地はあると思っています。
YouTube Premiumは「不要なサービス」だったわけではなく、今の自分の使い方にはコストが見合わなかった、というのが正直な結論です。
整体通い
整体通いについては、今まで利用していた店舗に通い続けることをやめました。
これまで通っていたのは、カラダファクトリーです。施術のクオリティは高く、信頼できる施術者の方にも担当していただいていたため、サービス自体には大きな不満はありませんでした。
ただ、継続を見直すきっかけになったのが料金の値上げです。40分の施術で約7,000円まで上がってしまい、自分の生活費や他の自己投資とのバランスを考えたとき、正直なところ負担が大きくなってきました。
そのタイミングで、カラダファクトリーと比べると施術のクオリティは多少落ちるものの、1時間4,000円程度でマッサージを受けられる別のお店を見つけました。絶対的な満足度は下がるかもしれませんが、価格と内容のバランスを考えると、こちらの方が自分には合っていると判断しました。
信頼できる施術者の方がいたこともあり、通うのをやめる決断は簡単ではありませんでしたが、最終的には自分の財布事情と向き合った結果の判断です。
整体通いを完全にやめたわけではなく、「どこに、どれくらいお金をかけるか」を見直した、というのが実際のところです。
まとめ
2025年を振り返って感じたのは、
「何をやるか」以上に「何を選ばないか」が重要だということです。
すべての行動が正解である必要はありません。
この記事が、来年の自分に残したい行動を考えるきっかけになれば幸いです。
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