WBSを簡単に作れるようになるコツを現役SEがわかりやすく解説

プロジェクト管理

本記事では「WBSの作成方法がわからない」「作成のコツを教えてほしい」と感じている方のために、誰でも簡単にWBSが作れるようになる方法をステップごとに解説していきたいと思います。意外とWBSの作成方法って他人から教えてもらう機会がないと思うので(人に聞くのも気まずい)本記事を読んで少しでもお仕事に活かせてもらえると嬉しいです。

WBSの概要

WBSとは

WBSとはひと言で表すと、スケジュール管理の1つの手法になります。「Work Breakdown Structure」の頭文字をとった略称が「WBS」であり、特徴としては大きなプロジェクトや工程の塊を1つの作業単位までに分解して管理するというところにあります。システム開発案件に携わっていくうえでスケジュール管理はほとんどのプロジェクトでこのWBSが使用されるため、システムエンジニアやプログラマとして働く際には必ず身につけておくべき知識になります。

WBSを使用する目的

WBSは上述の通り、プロジェクトにおけるスケジュール管理を実施するために使用されます。具体的にはプロジェクトに必要な活動や作業において、予定と対する実績の管理および進捗状況を可視化し遅延が起きているのか順調に進んでいるのかを明確にさせるという事が大きな目的となります。

WBS作成スキルを身につけることのメリット

WBSの考え方はシステム開発のスケジュール管理に限らず、ありとあらゆる場面で使用できます。システム開発でいつくものWBS作成を経験していくと、プライベートでもやらなければいけないことをWBSの構造で自然とタスク化ができるようになり段取りよく物事を進められるようになります。自身の経験でいうと引越しとかにはかなり役に立ったと思っています。やることが多くて気がめいりそうになるイベントに対しても自然とWBSの考え方でスケジュールを立てて進められるので、精神的にもかなりゆとりをもって取り組めるようになりました。

WBSの作成方法

①大項目レベルで作業の全体像を把握

まずはプロジェクトにおける全体像を把握します。全体像の把握レベルはシステム開発でいうと一般的に5つの大きな工程に分かれているため大項目としてはそのレベルで構いません。
(システム開発における5つの工程について詳しく知りたい方はこちらのリンクから記事を覗いてみてください。)以下にプロジェクトを「引越し」とした場合に洗い出しておくべき大項目の粒度の例を記載いたします。

例:作業の全体把握(引越しの場合)

①部屋探し
②契約・事務手続き
③引越し作業

②作業カテゴリを洗い出し

大項目レベルで全体像を把握出来たら、続いて項目ごとにどのような作業カテゴリがあるかを洗い出しして記入をします。以下には「引越し」における作業カテゴリの洗い出しの例を書いているので参考にしてみてください。

例:作業カテゴリの洗い出し(①家探しの場合)

・部屋の条件の検討
・賃貸検索サイトで物件を調査
・物件の見学

③作業単位に分解

ここまで大項目の把握、作業カテゴリの洗い出しができたら、1つの作業単位までタスクを分解していきます。ここでのポイントは自分が1つの行動と認識できるレベルまで落とし込むことです。言葉の説明だと少しわかりづらいかもしれませんので、ここでも引越しを例に作業単位に分解とはどのようなものかのイメージをつけてください。

例:作業単位に分解(①家探し 家の条件の検討)

・譲れない条件の検討
・許容できる条件の検討
・譲れない条件①家賃の値幅設定
・譲れない条件②築年数の設定
⇒ etc…

家の条件選択でもただ条件を決めるではなく、条件を選択する、条件を設定するというように動作毎に作業を分割していくイメージが良いでしょう。

④工数を設定する

作業単位まで分割できたら各作業に必要な予定時間(工数)をつけます。この工数をつけることで作業が想定している人数や日数で本当に終わるのかという確認を容易にします。なるべく正確な工数設定を行うことがプロジェクトの想定外の遅延を発生さない1つのポイントにはなりますが、作業毎に細かく工数を見極めるのもなかなか骨が折れる作業のため、工数を見積もるときのテクニックをいくつか紹介しますね。

 <工数見積もりのテクニック>
・過去の類似作業の実績工数を参考にする
・同じ作業を複数回(個)実施する場合は、サンプルで1つやってみてその実績に数を掛け合わせる
・有識者などにヒアリングを行い、簡単に見積もりをしてもらう

⑤作業開始終了予定日を入れる

作業毎に工数が入力できたら開始終了予定日を入力しましょう。作業の網羅性や工数自体は前段階で整理ができているので後は空き時間にパズルのように組み立ててみるだけの作業となります。ここでも気を付けないといけないことが1つあります。それは作業の先行後続関係に矛盾がないスケジュールを立てることです。例えば賃貸物件への実際に引越しをしようと思ったら事前に必要な契約の手続きや電気水道などのライフラインの準備が必要になりますよね?このように作業カテゴリが異なっていても先行後続がある作業の開始終了予定日には矛盾が生じないようにスケジューリングができているよねという確認が必要になります。ここを誤ってしまうと、変に空白の空き時間ができてしまい遅延や無駄なコストの消費につながってしまうのです。

最後は誰かにレビューしてもらう

作業開始終了予定日まで入れることができれば基本的なWBSの作成は完了になります。その後はできることなら複数の人にWBSをレビューしてもらいましょう。全部を確認することが難しい場合は、頼む人や自分の心配事によって何を確認してもらうかを提示してそこを重点的に見てもらえばレビューする側の人の負担もある程度は減らすことはできます。他人にレビューをしてもらうときに見てもらうとよいポイントについて以下に上げますので参考にしてみてください。

<WBSのレビュー観点>
・作業の抜け漏れがないか(作業分解漏れがないか)
・工数見積もりが多すぎたり少なすぎたりしていないか
・作業の先行後続に違和感はないか

まとめ

いかがでしたでしょうか?WBSの特徴と上記の作成方法を理解し実践してみると意外と簡単にWBSの作成ができると思います。始めは時間がかかることもあると思いますが、WBSの作成スキルはやればやるだけ高めることができ、作成スピードも早くなりますしスケジュールの精度もあがってきます。ここを面倒くさがってテキトーなスケジュールを作成するか、努力して精度の高いWBSを作れるようになるかでプロジェクトの成功がかかってくる大事な作業なので、妥協せずに一緒に頑張りましょう!!

いけやん

いけやん

現役システムエンジニアのいけやんです。 駆け出しシステムエンジニアやIT業界に転職を考えている方のために有力な情報発信をしていきます!

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