AWS認定試験の学習中、「コスト関連のサービスが多すぎて、どれが何の目的で使われるのかいつも迷う…」そんな悩みを感じたことはありませんか?
私自身も、「コスト管理ツールは多いのに、用途ごとの使い分け問題でいつも間違える…」といった壁に何度もぶつかってきました。
この記事では、そうした混乱をスッキリ解消するために、試験でよく問われる主要なコスト管理ツールを“目的別”に整理しています。内容はすべてAWS公式ドキュメントに基づいており、正確性と信頼性にも配慮しています。
無理なく覚えやすく、選択肢で迷わなくなるように、ポイントを押さえて一緒に確認していきましょう。
目次
- 1 AWSコスト管理の全体像
- 2 各ツール・サービスの役割と使いどころ
- 2.1 AWS Pricing Calculator
- 2.2 AWS Cost Explorer
- 2.3 AWS Budgets
- 2.4 コスト異常検知(AWS Cost Anomaly Detection)
- 2.5 請求アラート(CloudWatch Billingアラーム)
- 2.6 AWS Trusted Advisor
- 2.7 AWS Compute Optimizer
- 2.8 コスト最適化ハブ(Cost Optimization Hub)
- 2.9 コストと使用状況レポート(Cost and Usage Report)
- 2.10 コスト配分タグ(Cost Allocation Tags)
- 2.11 Cost Categories
- 2.12 AWS Organizations
- 2.13 請求ダッシュボード(Billing & Cost Management コンソール)
- 2.14 Billing Conductor
- 3 シナリオ別まとめ
- 4 参考リンク
- 5 練習問題
- 6 まとめ
AWSコスト管理の全体像
AWSのコスト管理に関するツールやサービスは多岐にわたり、それぞれの役割を整理して理解することが重要です。このセクションでは、後半で解説する各ツールの使い分けをスムーズにするために、目的別のカテゴリに分けて全体像を一覧化しました。
次のセクションへ進む前に、各サービスの位置づけを視覚的に整理しておきましょう。
| カテゴリ | 主な目的 | 主なツール |
|---|---|---|
| コスト予測 | 利用前にコストを見積もる | Pricing Calculator |
| コスト可視化・監視 | 利用中のコストを見える化し、予算超過や異常を検知する | Cost Explorer / Budgets / コスト異常検知 / 請求アラート |
| コスト最適化 | 無駄なリソースを削減し、効率的な構成へ改善する | Trusted Advisor / Compute Optimizer / コスト最適化ハブ |
| コスト分析 | 詳細な利用明細を取得し、集計・分析する | コストと使用状況レポート |
| 組織別コスト管理 | 組織単位・タグ単位でのコスト分類と統合管理 | コスト配分タグ / Cost Categories / Organizations / 請求ダッシュボード / Billing Conductor |
この全体像を把握したうえで、次のセクションから各ツールの具体的な機能や使い方を一緒に見ていきましょう。
各ツール・サービスの役割と使いどころ

AWS Pricing Calculator
概要
AWS導入前に、クラウドリソースの利用料金を事前に見積もるためのツールです。インスタンスタイプやリージョンなどを指定して構成し、月額・年額の見積もりを算出できます。
主な機能・特徴
- GUIで構成しながら簡単に見積もり作成可能
- 複数サービスを組み合わせた詳細な見積もりに対応
- 保存・共有・エクスポートが可能
他ツールとの違い
- 導入前のコスト見積もりに特化しており、利用中の可視化や分析には不向き
試験での出題傾向
- 「導入前にコストを予測したい」といった文脈でよく登場
- 構成要素を指定して見積もる場面が想定される
AWS Cost Explorer
概要
利用中のAWSサービスのコストと使用状況を視覚的にグラフで表示するツールです。フィルタやグループ化により詳細分析が可能です。
主な機能・特徴
- 月ごとのコスト推移を可視化
- サービス別・アカウント別のグループ集計
- 予測機能あり(今後の傾向も表示)
他ツールとの違い
- 可視化と傾向分析に強いが、しきい値通知は不可
試験での出題傾向
- 「コストの傾向を確認したい」「グラフで把握したい」などの文脈で登場
- 予測機能やグループ化条件が問われる
AWS Budgets
概要
特定のサービスやアカウントに対して予算を設定し、実際の使用状況と比較してしきい値を超えた場合に通知を送る機能です。
主な機能・特徴
- コスト、使用量、リザーブドインスタンス/Savings Plansの利用率など多様な条件に対応
- SNSなどを使ったアラート通知
- 成果指標やKPIにも活用可能
他ツールとの違い
- Budgetsはサービス単位でしきい値設定が可能(請求アラートは「AWSコスト全体」しきい値設定のみ)
試験での出題傾向
- 「サービスごとに予算を設定したい」「予算超過を通知したい」などのシナリオで登場
- 条件や通知対象が問われる
コスト異常検知(AWS Cost Anomaly Detection)
概要
過去のコスト使用傾向を機械学習で分析し、異常な請求が発生した際に自動で通知するサービスです。
主な機能・特徴
- 機械学習で異常検知
- 定義したモニタごとにアカウントやサービス単位で設定可能
- SNSによる通知設定あり
他ツールとの違い
- 請求アラートより精度の高い分析
試験での出題傾向
- 「急激なコスト変動を検知したい」といった文脈で選択肢に登場
- 機械学習や通知方法が問われる
請求アラート(CloudWatch Billingアラーム)
概要
請求アラートは、AWSアカウントの請求額が特定のしきい値を超えた際にアラームを発報する機能です。CloudWatchと連携し、リアルタイムでコストの急増を検知できます。
主な機能・特徴
- CloudWatchメトリクス「EstimatedCharges」を利用
- SNS通知と連携してアラート送信
- AWS Budgetsよりも即時性に優れる
他ツールとの違い
- 請求アラームは全体の請求額監視に特化(AWS Budgetsはサービスごとのしきい値設定が可能)
試験での出題傾向
- 請求超過の即時通知手段として選択肢に登場
AWS Trusted Advisor
概要
AWSアカウントの設定をチェックし、ベストプラクティスに基づいた改善提案を行うサービスです。コスト、セキュリティ、信頼性、パフォーマンス、サービス制限の5カテゴリに対応します。
AWS Trusted Advisorはコスト管理のみのサービスではなく、一部の機能としてコスト最適化の改善提案の役割を担います。
主な機能・特徴
- 未使用のリソースやアイドル状態のリソースを検出
- 一部のチェックは無料、全機能利用にはBusinessサポート以上が必要
- ダッシュボードで改善状況を可視化
他ツールとの違い
- Compute Optimizerが“使用実績”から提案するのに対し、Trusted Advisorは“設定”に基づく静的チェックが中心
試験での出題傾向
-
「コスト最適化のために未使用リソースを削減したい」「改善提案を確認したい」といったシナリオで登場
AWS Compute Optimizer
概要
実際のリソース使用データをもとに、コスト最適化とパフォーマンス改善のためのインスタンスタイプの推奨を行うサービスです。
主な機能・特徴
- CPU、メモリ、ネットワーク指標に基づいて推奨
- EC2、EBS、Lambda、Auto Scalingなどに対応
- 推奨の理由(アンダー/オーバープロビジョニングなど)も提示
他ツールとの違い
- Trusted Advisorより“動的・使用実績ベース”の分析
- より細かいパフォーマンス指標に基づいた提案
試験での出題傾向
- 「EC2の無駄をなくしたい」「最適なインスタンスタイプに変更したい」という文脈で出題
- Trusted Advisorとの使い分けが問われる
コスト最適化ハブ(Cost Optimization Hub)
概要
コスト最適化に関連する複数のサービス(Trusted Advisor、Compute Optimizer、Savings Plans)などからの推奨事項を一元的に可視化・管理するハブ型ツールです。
主な機能・特徴
- 各サービスの推奨を1か所で管理
- 組織全体やアカウント単位での確認が可能
- フィルターやアクション追跡などの管理機能も充実
他ツールとの違い
- 個別の最適化ツールを統合的に扱える
試験での出題傾向
- Trusted AdvisorやCompute Optimizerとの連携を問う問題で登場
- 「最適化提案を一元管理」といったキーワードがヒント
コストと使用状況レポート(Cost and Usage Report)
概要
AWSの利用明細をCSV形式で出力し、詳細なコスト分析や請求処理に活用できるレポート機能です(略称:CUR)。
主な機能・特徴
- S3バケットに毎日または時間単位で出力
- Athena、Redshift、QuickSightと連携して集計・分析
- 最も詳細な課金情報が含まれる
他ツールとの違い
- Cost Explorerよりもはるかに詳細なレベルでの分析が可能
試験での出題傾向
-
「コストを詳細に分析したい」「外部ツールで利用明細を処理したい」といった文脈で登場
コスト配分タグ(Cost Allocation Tags)
概要
AWSリソースにタグを付け、それを使ってコストを分類・分析するための仕組みです。
主な機能・特徴
- ユーザー定義タグとAWS提供タグに対応
- コスト配分タグは有効化が必要
- Cost ExplorerやCURと連携して集計に活用可能
他ツールとの違い
- タグベースの分類が可能なのはこの機能だけ
- Cost Categoriesと併用することで柔軟な分類が可能
試験での出題傾向
- タグによる課金集計の手段として選択肢に登場
- 有効化の必要があることを問われる場合も
Cost Categories
概要
AWSリソースにコスト配分のためのタグを付けることで、部門別・プロジェクト別など任意の単位でコストの分類・追跡を可能にする機能です。タグに基づいたコスト分析を行うための前提となる設定です。
主な機能・特徴
- 複数の条件(アカウント、サービス、タグなど)で柔軟に分類
- Cost ExplorerやBudgetsで利用可能
- カテゴリごとの集計・フィルタが容易になる
他ツールとの違い
- タグを用いた分類はCost Allocation Tags、複数条件を掛け合わせた分類はCost Categories
- より高次の集計・レポート作成に向いている
試験での出題傾向
- タグだけでは分類できない複数条件の例で出題
- 「プロジェクト別にコストを見たい」といった文脈で選択肢に登場
AWS Organizations
概要
複数のAWSアカウントを統合管理できるサービスで、請求の一括化(コンソリデーティッドビリング)やポリシーの統制に活用されます。
AWS Organizationsはコスト管理のみのサービスではなく、一部の機能としてコスト最適化の改善提案の役割を担います。
主な機能・特徴
- 一括請求(Consolidated Billing)で請求情報を集約
- SCP(サービスコントロールポリシー)によるアクセス制御
- OU(組織単位)による階層的管理
他ツールとの違い
- コスト分類というより“請求統合”や“ポリシー制御”に関わる
- Billing Conductorと組み合わせることで社内課金に対応
試験での出題傾向
-
「複数アカウントを統合管理したい」「組織単位でコストをまとめて管理したい」といった文脈で登場
請求ダッシュボード(Billing & Cost Management コンソール)
概要
請求書の確認、支払い方法の設定、支払い履歴などを管理するための標準的なWebコンソールです。
主な機能・特徴
- 課金状況のダッシュボード表示
- 支払い方法や請求書のダウンロード
- Cost ExplorerやBudgetsなど他機能へのリンク
他ツールとの違い
- コスト分析ではなく“支払い管理”に特化
- 実務では必ず使う基礎的なコンソール
試験での出題傾向
- 支払い情報の管理手段として選択肢に登場
- 請求確認の方法を問われる
Billing Conductor
概要
AWS Organizationsで統合された請求を、内部的に再構成して部門ごとや顧客単位で課金できるようにする高度な機能です。
主な機能・特徴
- アカウントごとに独自の請求ルールを設定可能
- 見かけ上の請求金額をカスタマイズ可能(社内課金など)
- 専用ダッシュボードで管理・確認が可能
他ツールとの違い
- 外部請求でなく内部請求(社内コスト配分)向け
- Organizationsと連携して初めて意味を持つ
試験での出題傾向
- 上級試験で「社内部門ごとの請求調整をしたい」などのシナリオで出題
- 実務要素が強いためCLFでは出題少なめ
シナリオ別まとめ

ここでは、実際の試験や現場で問われる“課題や目的”に対して、どのサービスを使うべきかをすぐに判断できるように整理しています。似たようなツールが複数登場して混乱しやすい分野のため改めてまとめておくので参考にしてください!
| やりたいこと | 該当ツール |
|---|---|
| 新規導入前にコストを見積もりたい | AWS Pricing Calculator |
| 利用中のコスト傾向をグラフで把握したい | AWS Cost Explorer |
| リソースごとに予算を設定して通知を受けたい | AWS Budgets |
| 異常な請求を自動で検出したい | コスト異常検知 |
| 請求額が一定額を超えたら即通知を受けたい | 請求アラート |
| 未使用リソースを見つけて削減したい(設定情報をもとに) | Trusted Advisor |
| 未使用リソースを見つけて削減したい(使用データをもとに) | Compute Optimizer |
| 削減提案を一元管理したい | コスト最適化ハブ |
| 詳細なコストデータをCSVで出力・分析したい | コストと使用状況レポート(CUR) |
| コストをタグや部門で分類・集計したい | コスト配分タグ / Cost Categories |
| 組織全体のアカウントを統合管理したい | AWS Organizations |
| 独自ルールで社内請求を再構成したい | Billing Conductor |
| 支払い方法や請求書を確認したい | 請求ダッシュボード(Billing & Cost Management コンソール) |
参考リンク
今回紹介したAWSコスト管理ツールについて記載されているAWS公式ドキュメントへのリンクです。試験対策や実務の確認にご活用ください!
- AWS Pricing Calculator
- AWS Cost Explorer
- AWS Budgets
- コスト異常検知
- 請求アラート
- AWS Trusted Advisor
- AWS Compute Optimizer
- AWS コスト最適化 Hub
- コストと使用状況レポート
- コスト配分タグ
- Cost Categories
- AWS Organizations
- 請求ダッシュボード(Billing & Cost Management コンソール)
- Billing Conductor
練習問題

上記で学んだことをもとに実際にAWS認定試験と同じ形式で問題を解いてみましょう。
試験で狙われやすいポイントを重視して問題設定をしています。
まとめ
本記事では、AWSのコスト管理に関するツールを「目的別」に整理し、試験で狙われやすい観点から理解を深めることを目的に解説しました。サービス数が多く複雑に感じる領域ではありますが、“いつ・何を・なぜ使うのか”を理解することで選択問題にも対応できるようになります。
このほかにもAWS認定資格試験の対策に関する記事がありますので、以下のリンクから気になる記事を覗いてみてください!

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