運用保守エンジニアに必要なスキルを3つの成長段階別に解説

運用保守

運用保守エンジニアとしてキャリアを築きたいと思っても、
「どんなスキルが必要なのか」
「未経験からでも目指せるのか」
こういった疑問や不安を抱える方は多いのではないでしょうか。
実際、IT業界の中でも運用保守エンジニアは多様なスキルセットが求められる一方で、明確なロードマップが見えづらい職種です。

本記事では、そんな不安や疑問を解消するために、運用保守エンジニアに必要なスキルを3つの成長段階に分けて詳しく解説します。
未経験者がどのように第一歩を踏み出し、最終的に管理者として活躍できるようになるのか、その道筋を具体的にお伝えします。
あなた自身のスキルアップに役立つ実践的な知識が得られるはずです。

本記事では、運用保守エンジニアに必要なスキルを以下の2つの観点から解説します。

  • ビジネススキル:コミュニケーション能力や問題解決力など、業務全体に共通する能力。
  • ITスキル:技術的な業務をこなす上で必要な知識と経験。

レベル1:未経験者が必要なスキル

レベル1では新卒入社の方にとっては研修期間で身につけるスキル、転職を目指している方にとっては採用合格ラインに達するために必要なスキルを詳しく解説します。

ビジネススキル

コミニュケーション能力

運用保守エンジニアはユーザやベンダー、開発担当、オペレータなど多くのプレーヤーと関わる職種になります。
各プレーヤーによってスキルレベルや考え方が異なるため、どんな人にもうまく伝えられる、要件を聞き出せるコミュニケーションが必要になるのです。
必要なコミュニケーション能力についてさらに細かく分解したものが以下になります。

コミュニケーション能力の要素
  • 報告・連絡・相談について的確なタイミング、手段で実施できること
  • 聞き手の伝えたいことを正しく理解できること(不足する情報があれば聞き出せること)
  • 要点を簡潔にまとめて伝えられること

 

基礎的なビジネスマナー

営業職ほどビジネスマナーに厳しい現場ではありませんが、基礎的なビジネスマナーは必要です。
以下には基礎的なビジネスマナーの中でも重要度が高い項目を記載します。

身につけておきたいビジネスマナー
  • 基本的なメール文面の作成
  • お客様向けの電話対応

 

ITスキル

office製品の基本操作

ExcelやWordを使用した資料作りをする機会が多いため、office製品の基本的な使い方は理解しておく必要があります。
特にExcelの操作スキルは仕事のスピードに大きく影響します。

コンピュータ構成要素

未経験者でもさすがにこれだけは身につけておいてほしい知識がコンピュータ構成です。
世の中に存在するシステムはどのような仕組みでできているかを理解するためには、コンピュータ構成を学ぶのが一番の近道です。
未経験ITエンジニアが一番初めに学ぶべき要素だと思っています。

推奨資格

未経験者にとっては以下2つの資格がおすすめです。

推奨資格
  • ITパスポート
  • 基本情報技術者

普遍的なITエンジニアとして必要な知識も学べますし、新しい技術が出てくるたびに、出題範囲が見直され最新技術の基礎知識についても学べるというメリットがあります。
もちろん資格を保有しておくことで企業から採用されやすくなることも大きなメリットですね。
必要な勉強時間はそれぞれITパスポートが100時間前後、基本情報技術者が200時間くらいと言われています。
挫折をしたくない方はITパスポートから始める方が無難ですが、本屋でITパスポート対策用の参考書を見て「簡単そう」と思ったら基本情報技術者から始めちゃいましょう。

レベル2:1、2年目で必要なスキル

レベル2は本格的に業務を始める際に必要になる知識、スキルになります。

ビジネススキル

トラブル対応するためのコミュニケーション能力

運用保守エンジニアの重要な仕事の一つとしてシステムの障害対応があります。
コミュニケーションが遅かったり効率が悪かったりするとお客さんやユーザに大きな損害をもたらしかねません。
そのため、ただのコミュニケーションができるだけではスキルとしては不足しており、正確さとスピードの両方が求められるのです。
結論を先に述べるや、報告内容のテンプレート化など細かいテクニックはたくさんありますのでコミュニケーション研修をうけたり、先輩から学ぶとよいでしょう。

タスク管理能力

運用保守エンジニアはルーチンワークを確実にこなし、プロジェクトを遅延の無いように進めながら、システム障害などの突発的な対応も行います。
思ったようにタスクが進まないことは日常茶飯事なわけです。
タスク管理能力が低いと納期遅れが発生してしまう可能性があります。
そのため、タスクの的確な優先度付けや、タスクの入れ替え、上司への相談といった行動をとることが必要になるのです。

責任感

運用保守エンジニアは自分のPC操作ミス一つで何億、それ以上の損害を及ぼしかねません。
そんなシステムを取り扱っているんだという自覚を持つことが必要になります。

ITスキル

システム監視ツールの使用方法

システム監視はシステムのアプリケーションやネットワークハードウェアでエラーを検知する仕組みであり、運用保守エンジニアの主な仕事の一つです。

システム監視ツールはシステム内部のエラーを統合管理するソフトウェアのことを言います。
ツールに対して運用保守エンジニアは、エラーメッセージの登録や出力方法の設定、、、その他もろもろの作業が必要になります。
もちろん手順書やマニュアルはあるものの、よりスピーディにミスなく行うためにこのようなツールの仕組みや操作方法を頭と体に叩き込んでおくことが重要です。
ただ、システム監視ツールの操作スキルは予備知識として習得しようとするのではなく、実務で使用するツールを対象に学習するのが良いでしょう。
少しお高いですが研修もありますので、実務経験と掛け合わせてスキルを伸ばしていくのがおすすめです。

代表的なシステム監視ツール
  • Hinemos (エヌ・ティ・ティ・データ先端技術株式会社)
  • Zabbix (Zabbix Japan LLC)
  • JP1 (株式会社 日立製作所)

 

トラブルシューティングの基礎

システム監視ツールにてシステムの異常を検知した場合は、関係者に連絡、原因究明や復旧対応をしなければなりません。
エラー内容によっては対応が決まっているものがある場合とそうでない場合の両方のケースが考えられます。
その中で、1,2年目の運用保守エンジニアに求められるのは、対応が決まっているエラー内容についてはマニュアル通りに確実にスピーディに作業や連絡ができること、対応が決まっていないエラー内容については的確な人物にエスカレーションできるかの2つです。
一見簡単そうに思えるかもしれませんが、大規模システムになると様々なパターンが存在するため、全体像を把握するだけで1年は必要だったりします。
自動化が進んでいるこの世の中ですが、まだ人の手による切り分けが必要な部分があるため、手順やマニュアル通りに手を動かせるようになるまでとにかくドキュメントの読み込みと実践を積むべしですね。

推奨資格

1,2年目の運用保守エンジニアにおすすめの資格は以下の3つになります。

推奨資格
  • LPIC-1 もしくは LPIC-2(Linux)
  • CCNA(ネットワーク)
  • ITILファンデーション(運用管理)

LPIC-1(LPIC-2)
Linuxはオープンソースであることの汎用性の高さ、他OSと比べたときのコスト低減というメリットから、システム管理用OSの主流なのです。
担当するシステムがLinuxOSを使用している場合は基本的に受講することをおすすめします。
ちなみに私が担当するシステムはLinuxOSを使用していませんが、システム管理系の操作や知識はLPICの研修で身につけました。

CCNA
CCNAはCisco社が提供するネットワークの基礎知識を証明する資格です。
どのシステムを担当するにしても運用保守業務おいてはネットワークの知識は必要不可欠であるため、まずはネットワークのリーダ企業であるCisco社が用意する資格取得を目指すのがベターでしょう。

ITILファンデーション
ITILファンデーションはAXELOS(アクセロス)というイギリスの組織が管理するITサービス管理における国際標準フレームワークであるITILの認定資格です。
この資格はシステム運用保守全体の考えカを学ぶことができる優良資格です。
技術的な資格ではありませんが、運用保守エンジニアの登竜門的な資格になります。



レベル3:3~5年目 担当者として必要なスキル

レベル3は小規模チームのリーダもしくはサブリーダの立場となった際に必要なスキルになります。

ビジネススキル

プロジェクト管理の基本

3年目以降は後輩を下につけてチーム管理を任されることが多くなります。
さらにもう少し深堀すると、計画の立案から進捗確認などのスケジュール管理、プロジェクト内で発生した問題に対してどのように対処をするかを考える問題課題管理の2つのスキルが求められます。
今まで身につけたコミュニケーションスキルやITスキルを総動員してプロジェクトが成功するようにコントロールすることが求められます。

プレゼンテーションスキル

プロジェクト内でリーダ格になると、各工程での方針について上位者やお客さんからの承認を得るために会議をする機会が増えてきます。
その際に、相手のスキルレベルに合わせてわかりやすく説明すること、相手が納得できるようなストーリで話を組み立てないといけません。
ただ単に簡潔に丁寧に伝えるでは不足しており、前提情報の認識合わせや、具体例やデータの作成・見せ方などの高度なプレゼンテーション能力が必要になるのです。

ITスキル

高度なトラブルシューティング

運用保守エンジニアの真骨頂ともいえるスキル、トラブルシューティングスキル。
システムに何か問題が発生したらどこに問題があるのかを切り分け調査したり、開発部隊やベンダーへの問い合わせを行ったりします。
具体的に上げると以下のような知識やスキルが必要になります。

トラブルシューティングスキル
  • システム全体像の理解
  • 各機能の概要の理解(処理フローなど)
  • システムの調査コマンドの理解
  • 状況把握能力

 

運用自動化技術

日々の運用を改善するために、自動化に対する知識とスキルが求められます。
手動で実施している作業の内、どこが自動化にできるのか、どのように自動化するかのイメージを作ったり、自動化ツールの設計や製造をするスキルが必要になります。

推奨資格

3~5年目の運用保守エンジニアにおすすめの資格は以下になります。

推奨資格
  • 応用情報技術者
  • 高度情報処理技術者(自分の担当に合ったもの)
  • PCAP(Python認定資格)

応用情報技術者
応用情報技術者試験は3~5年目の運用保守エンジニアが持つべきスキルセットが出題範囲となっています。
午後試験の文章問題は特に具体的なケースからどのように問題解決をすべきかを答える内容がありますが、これは上記で解説したスキルを高めるためのトレーニングになるので

高度情報処理技術者
高度情報処理技術者は応用情報技術者の1つ上のレベルに位置する資格で、特定分野に対する高度な知識やスキルが必要になります。
3~5年目の間では必須とまではいきませんが、専門性がある運用保守エンジニアは引く手あまたなので自分が興味ある分野や自身の業務と照らし合わせたときに一番有用な資格取得を目指すと良いと思います。

 

まとめ

運用保守エンジニア未経験から5年目までに必要なスキルについて解説しました。
各段階でどのようなスキルが必要なのかご理解いただけたのではないかと思います。

ITエンジニアとして実務経験がない方でも今は手軽にIT知識・スキルを身につけることができる環境が整っています。
未経験から運用保守エンジニアになる方はぜひ自己投資として本を買ってみたり、オンライン講座を受講してみてはいかがでしょうか?

いけやん

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現役システムエンジニアのいけやんです。 駆け出しシステムエンジニアやIT業界に転職を考えている方のために有力な情報発信をしていきます!

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いけやん

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現役システムエンジニアのいけやんです。 このブログは駆け出しシステムエンジニアやIT業界に転職を考えている方のために有力な情報発信をしていきます!

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